ビルの節電・省エネ対策|機器管理とエネルギー消費を効率化する方法
電気代の高騰や脱炭素経営の流れを受け、ビルにおける節電・省エネ対策は避けられない課題となっています。
特にビル全体で消費される電力は、空調や照明、OA機器の消費を抑える工夫が重要であり、適切な対策を行うことで大幅な費用削減と環境負荷の低減を実現できます。
また、オフィスビルといっても「テナントビル」と「自社ビル」では取り組むべきポイントが異なります。テナントビルでは、主にオフィス内の照明やOA機器の使い方を工夫することが重要であり、自社ビルでは空調機器の更新やBEMSの導入など、建物全体を対象とした長期的な省エネ投資が求められます。
本記事では、国のデータや事例をもとに、ビルにおける電力消費の現状と、それを削減するための省エネ対策を解説します。
ビルで節電対策が求められる背景
近年、ビルにおける電力消費は経営に直結する大きな課題となっています。
電気代の高騰に加え、省エネ法や環境規制などの法的要請、さらには脱炭素社会への移行といった社会的な動きも加速しています。
節電対策は費用削減にとどまらず、ブランド価値の向上やESG投資への対応といった観点からも重要性を増しています。
ここでは、オフィスビルで節電対策が求められる背景を整理します。
電気代の高騰が経営に影響している
近年のエネルギー価格の上昇により、オフィスビルの電気代の負担は年々増加しています。
特に空調や照明、OA機器などの電力使用量が多いオフィスビルでは、電気代の高騰がそのまま固定費の増加に直結し、事業者の収益を圧迫する大きな要因となっています。
また、電気代は一度上がると短期では大幅な下落が見込みにくいため、長期的な経営計画においても無視できないリスクです。利益率が低下するだけでなく、支出増により投資や人材育成などの成長施策に影響を及ぼすケースも少なくありません。
そのため、多くの事業者が「エネルギー消費と費用をどう抑えるか」を経営課題として捉え、節電対策や省エネ機器の導入に踏み出す必要性が高まっています。
省エネ法・環境規制などで企業に節電が求められている
企業に節電が求められる背景には、国が定める法制度や環境規制の強化があります。代表的なものが「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律(省エネ法)」です。省エネ法では、一定規模以上の事業者に対してエネルギー使用量の定期報告や、省エネ計画の策定・実行が義務付けられており、遵守しない場合は指導や公表の対象となることもあります。
さらに近年は、建築物省エネ法による新築・改修時の基準適合義務化や、CO₂排出削減に向けた自治体レベルの規制も進んでいます。これらの流れにより、オフィスビルに入居する事業者やオフィスビルのオーナーは、法規制や環境面からも「節電・省エネやエネルギー消費の抑制に取り組むこと」が求められる状況です。
節電がブランドやCSRにもつながる
近年、消費者や取引先は「環境に配慮した企業かどうか」を重視する傾向が強まっており、省エネを実践すること自体がCSR(企業の社会的責任)の一環として評価されるようになっています。
例えば、オフィスビルでの節電施策を発信することで、環境に優しい事業者としてのイメージを高め、取引先や求職者からの信頼を得る効果も期待できます。
さらに、社員にとっても「社会に貢献している会社で働いている」という誇りやモチベーションが高まり、組織全体のエンゲージメント向上に繋がります。
脱炭素社会やESG投資の流れが加速している
世界的にカーボンニュートラルの実現を目指す動きが広がる中、日本でも「2050年カーボンニュートラル※環境省」や「2030年度の温室効果ガス46%削減目標※環境省」が掲げられ、脱炭素社会への移行が加速しています。
地球全体の平均温度が上昇し続けている現状を受け、こうした政策目標を背景に、企業にはCO₂排出削減や再生可能エネルギーの導入など、環境負荷を減らす取り組みが一層強く求められるようになっています。
同時に、投資家や金融機関の間では、環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)を重視するESG投資が急速に拡大しており、環境対応が不十分な法人は資金調達や投資選定の面で不利になるリスクも高まっています。
ビルの省エネで得られる効果
オフィスビルの省エネには、費用削減だけでなく働きやすさやブランド価値の向上といった効果もあります。ここでは、ビルの省エネで得られる効果を整理して見ていきます。
電気コスト削減に繋がる
オフィスビルで省エネに取り組む最大の効果は、電気コストの削減です。空調や照明、OA機器といった設備の使い方を見直すだけでも電力使用量は大きく変わり、年間の光熱費を数%〜数十%抑えられるケースもあります。
こうした削減効果は、固定費を下げるだけでなく、長期的な経営の安定にも貢献します。
従業員の快適性・生産性向上
省エネの取り組みは、従業員の快適性や生産性の改善にも直結します。例えば、空調の温度を適切に保つことや日射をコントロールする工夫は、オフィス内の温度ムラを減らし、働きやすい環境をつくる効果があります。照明の最適化も、まぶしさや暗さによるストレスを軽減し、集中力を高める要因となります。
快適な温度環境は従業員のパフォーマンスやモチベーションを高め、結果として業務効率や生産性の向上につながります。
ブランド価値向上(CSR・ESG対応)
オフィスビルでの省エネの取り組みは、企業の社会的評価を高め、ブランド価値向上にもつながります。CSRの観点では、省エネを実践する姿勢そのものが「環境に配慮した企業」としての信頼獲得につながります。
取引先や顧客からの評価が高まるだけでなく、採用活動においても「環境意識の高い会社で働きたい」と考える求職者の関心を集めやすくなります。
また、投資家の間で注目されているESG(環境・社会・ガバナンス)投資の観点でも、省エネの実践は重要な評価指標です。環境負荷を減らす取り組みを進める企業は、資金調達や投資判断において優位に立ちやすく、結果として持続的な成長につながります。
テナントビルと自社ビルで異なる省エネのポイント
オフィスビルといっても、「テナントビル」と「自社ビル」とでは、省エネに取り組む際の重点ポイントが異なります。
テナントビルに入居している場合は、主にオフィス内の照明・空調・OA機器など、日常の使い方や社員の行動改善による節電が中心となります。一方で、オフィスビルを保有している場合は、建物全体の管理責任があるため、空調機器や照明システムの更新、BEMS導入といった中長期的な設備投資が重要になります。
| テナントビル | 自社ビル | |
|---|---|---|
| 主な対象 | オフィス内の設備・機器 | 建物全体(空調・照明・共用部) |
| 代表的な対策 | 照明のLED化、空調温度管理、社員の節電習慣 | 高効率空調機器への更新、断熱改修、BEMS導入、再エネ利用 |
ビルのエネルギー消費の特徴
出典:財団法人 省エネルギーセンター「オフィスビルの省エネルギー」
オフィスビルのエネルギー消費は、その規模や形態によって大きく特徴が異なります。
たとえば、延床面積が35,000㎡程度のビルを例にすると、専有オフィス部分だけでなく、エレベーターホールやトイレなどのオフィス共有部、受変電設備や機械室といった共用部でも多くのエネルギーが使用されています。特に「レンタブル比(一般オフィス面積/延床面積)」が省エネ管理の指標となり、この比率が低いほど共用部分のエネルギー比率が相対的に高まる傾向があります。
また、レンタブル比60%以上のテナントビルを対象とした調査では、空調・照明・コンセント・換気といった用途が消費の大部分を占めていることが示されています。とりわけ空調は室内温度の調整に直結するためエネルギー使用の中で最も大きな割合を占めており、次いで照明やOA機器が続きます。
自社でオフィスビルを保有している場合は、テナント利用とは異なり、ビル全体のエネルギーの使用状況を把握する必要があります。特に空調・照明・コンセントの使用比率や消費割合が高いのは共通ですが、自社所有のビルでは「動力」や「その他」といった区分も加わる点が特徴です。
さらに、多くのビルで採用されているセントラル空調では、「熱源機器」や「空気搬送」が大きなエネルギー消費を占めています。そのため、オーナー所有のビルの省エネ対策では、建物全体の管理を前提に、空調機器や搬送系の機器の使用状況に応じた対策が重要となります。快適な温度環境を維持することが、省エネと働きやすさの両立につながります。
このように、ビルのエネルギー消費は規模や形態、管理形態によって特徴が大きく異なります。自社の状況を踏まえて、どの機器や設備に重点を置いて省エネ対策を進めるかを判断することが重要です。
国の調査で見るオフィスビルの省エネ性能とZEB達成率
国土技術政策総合研究所(国総研)は、2023年度に新築・増改築されたオフィスビル等の省エネ性能に関する調査結果を公表しました。対象は床面積300㎡以上の建物で、計11,927棟の情報が分析されています。
調査は建築物省エネ法に基づく手続き時の情報をもとに実施され、省エネ性能評価指標(BEI)や外皮・設備設計仕様など、信頼性の高いデータが整理されています。
特に注目すべきは、「ZEB基準(建物の一次エネルギー消費量を国の基準から30〜40%削減することを目指す水準)」の達成率が件数ベースで19.7%、床面積ベースで39.0%に達した点です。前年度(2022年度)と比べると着実に向上しており、なかでも延床2,000㎡以上の大規模事務所では12.7%→17.7%へと大きく伸びています。
政府が掲げる「2030年度以降、新築建築物はZEB基準を目指す」という目標に向けて、オフィスビル分野でも脱炭素化・省エネ化の取り組みが進みつつあることが、今回の調査から読み取れます。
テナントビルに入居している企業ができる節電対策
テナントビルに入居している企業の場合、建物全体の設備更新など大規模な省エネ投資は難しいものの、オフィス専有部での工夫次第で節電効果を得ることができます。
ここでは、テナントビルですぐに取り組める節電対策を紹介します。
オフィス照明のLED化・間引き点灯
オフィスの照明は、長時間使用されることが多いため、消費電力の大きな機器のひとつです。従来の蛍光灯からLED機器に切り替えることで、消費電力を約50%削減でき、さらに長寿命で交換頻度も少なく済むため、運用費の低減にもつながります。
また、全ての照明を常時点灯するのではなく、使用頻度の低いスペースでは間引き点灯を行うことで、無駄な電力消費を抑えることが可能です。特に会議室や休憩スペースなど、常時使用しないエリアに効果的です。
ただし、間引き点灯を行う際には、作業効率や安全性を損なわないように、照度基準を意識しながら実施することが大切です。LED化と間引き点灯を組み合わせることで、支出を抑えながら節電効果を高めることができます。
人感センサーやタイマーによる照明制御
オフィスの照明は、人がいない場所でも点灯したままになっているケースが多く、無駄な電力消費の原因となります。そこで有効なのが、人感センサーやタイマーを使用した照明制御です。
人感センサーを設置すれば、人の動きを検知して自動で照明を点灯・消灯できるため、トイレ・廊下など、使用時間が限られる場所で特に効果的です。また、タイマーを使えば業務時間外の不要な点灯を防ぎ、夜間や休日の無駄な電力使用を削減できます。
初期投資は比較的低く、既存の照明機器にも後付けできる製品が多いため、テナントビルでも取り入れやすい省エネ対策です。ただし、設定が不適切だと「頻繁に消えて不便」といった不満につながることもあるため、実際の使用状況に合わせて調整することが重要です。
エアコンの温度設定の最適化
オフィスの節電で大きな効果を生むのが、エアコンの温度設定を適切に見直すことです。
設定温度を1℃緩和するだけで、冷房時は約13%、暖房時は約10%の消費電力量を削減できるといわれており、全社的な取り組みによって大きな支出削減につながります。
ただし、従業員が快適に働ける環境を保つことが重要なため、無理のない範囲で温度設定を行うことがポイントです。
ブラインドや断熱フィルムを使った日射調整
窓からの直射日光は、夏場の室温上昇や冷房負荷の大きな要因になります。ブラインドの角度を調整したり、窓ガラスに断熱・遮熱フィルムを貼ることで、日射の熱を効果的に遮り、室内温度の安定と空調効率の向上が可能です。
空調効率を高めることで、冷房の稼働時間を減らし、電気代削減につながります。比較的簡単に導入できるため、温度管理を含めた中長期的な節電対策としても有効です。
出典:環境省
パソコン・複合機の省エネモード設定
オフィスで常時使用しているパソコンやOA機器は、稼働していない時間でも待機電力を消費しています。
省エネモードやスリープ機能を設定するだけで、無駄な電力を大幅に削減できます。環境省の試算によると、300台のPCで業務時間外に電源を遮断した場合、エネルギー消費量・CO₂排出量・エネルギーコストのいずれも約90%削減できるとされています。特に複合機は待機時間が長くなりやすいため、自動スリープ機能や定時の電源オフ設定を取り入れることで、節電効果と経費削減の両方に直結します。
出典:環境省
社員の行動改善(シャットダウン・節電習慣の徹底)
節電を定着させるには、社員一人ひとりの行動改善が欠かせません。業務終了後のパソコンや複合機のシャットダウン、照明や空調のこまめな消灯など、日常の小さな習慣が積み重なることで大きな削減効果につながります。
環境省の資料でも「オフィスの節電は従業員の協力が重要」とされており、社内でルールを明確化し共有することで、電気料金の節約と脱炭素の両立が可能になります。
テレワーク・フレックスタイム導入による稼働時間削減
オフィスの電力使用は「人がいる時間」に比例します。テレワークやフレックスタイム制度を導入すれば、出社人数や稼働時間を分散でき、照明・空調・OA機器の使用を大幅に減らせます。
さらに、環境省の資料では「柔軟な働き方による働き方改革は、CO₂削減と労働生産性の向上を同時に実現できる」とされています。節電の取り組みは単なる経費削減にとどまらず、従業員の働きやすさやブランド価値の向上にもつながる点が重要です。
出典:環境省
自社ビルを保有する企業が取り組むべき節電対策
自社でビルを保有している企業では、オフィス全体の電力使用量が大きいため、節電対策の効果も非常に大きくなります。前述で紹介したテナントビルで実践できる節電対策の他にも、自社ビルだからこそ実施できる取り組みがあります。
ここでは、自社ビルで実施できる節電対策を紹介します。
高効率空調機器への更新
一つ目の節電対策として大きな効果を発揮するのが、老朽化した空調機器を高効率タイプへ更新する取り組みです。
最新の省エネ型エアコンや業務用の空調機器は、従来機に比べて消費電力を大幅に抑えられる設計になっており、初期投資は必要ですが長期的にはエネルギー費用の削減とCO₂排出量の低減につながります。
更新時には補助金制度を活用できるケースも多く、経済的なメリットも期待できます。
空調フィルター清掃や定期メンテナンスの徹底
空調機器を効率的に運転するには、フィルター清掃や定期メンテナンスが不可欠です。フィルターが目詰まりすると風量が低下し、冷暖房効率が悪化して余分な電力を消費し、室内温度の安定も損なわれます。
定期的に清掃・交換を行うことで、機器の寿命を延ばしつつ電力消費の無駄を防ぐことができます。大規模な設備更新に比べ低コストで実践できるため、節電対策として非常に有効です。
断熱材・二重サッシの導入による外気負荷の低減
中長期的な節電対策として効果が高いのが、断熱材や二重サッシの導入です。外気の熱の侵入や室内の冷暖房の損失を防ぐことで、室内温度を安定させながら冷暖房効率を大幅に改善し、空調にかかる電力消費を抑えられます。
初期投資は必要ですが、長期的なエネルギー費用の削減や従業員の快適性アップにつながるため、環境配慮と経済性を両立できる有効な手段といえます。
ビルエネルギーマネジメントシステム(BEMS)の活用
BEMSはビル全体のエネルギー使用を「見える化」し、空調や照明などを自動制御することで無駄を削減する高度な省エネシステムです。
実際に、年間電力消費量が約6,750千kWhのビルで導入した場合、エネルギー消費量・CO₂排出量・エネルギーコストをそれぞれ約9%削減できるといった試算例も報告されています。
資源エネルギー庁の試算でも、2030年までに国内でBEMSを活用することで235万kL相当のエネルギー削減が可能とされています。初期投資は必要ですが、長期的には費用削減と環境負荷の低減に大きく貢献します。
出典:環境省
再生可能エネルギー(太陽光発電等)の導入
自社ビルを保有する場合、再生可能エネルギーの導入は中長期的な節電対策として有効です。屋上や外壁に太陽光発電を設置すれば、昼間の電力を自家消費でき、エネルギー消費の削減とCO₂排出削減を同時に実現できます。
余剰電力を売電することも可能で、経済的メリットも期待できます。初期投資は必要ですが、国や自治体の補助金制度を活用すれば導入ハードルを下げることができます。
エレベーターや給湯機器など共用部の省エネ化
自社ビルでは、オフィス内だけでなくエレベーターや給湯機器といった共用部の省エネも大切です。エレベーターは待機時の電力を抑える制御やLED照明化で消費電力量を削減できます。
給湯機器も、省エネ型ボイラーやタイマー制御の導入により効率的な運用が可能です。こうした共用部の改善は使用頻度が高いため効果が大きく、全体の電気代削減につながります。
電力会社の見直し
電気代を抑えるには、使用量を減らすだけでなく契約内容を見直すことも有効です。電力自由化により新電力会社を選べるようになり、料金単価や基本料金が安いプランへ切り替えることで費用削減が可能です。
複数拠点をまとめて契約することで割安になるケースもあり、定期的に自社の使用状況に合ったプランを比較・検討することが重要です。
長期的な設備投資計画に基づく省エネ改善
オフィスの省エネを持続的に進めるには、設備投資計画を立てることが重要です。老朽化した空調機器や照明を段階的に高効率機器へ更新し、断熱材や二重サッシの導入を組み合わせれば、電気代削減と快適な職場環境を実現できます。
さらに、こうした計画的な省エネ改善はエネルギーコストの安定化につながり、将来の電力価格上昇リスクへの備えや企業の成長を支える基盤にもなります。
省エネ・節電対策の補助金・助成金制度
省エネや節電対策を進める事業者に向けて、国や自治体ではさまざまな補助金・助成金制度が用意されています。代表的なものに「省エネ補助金(経産省)」や「カーボンニュートラル関連の支援制度」があり、LED照明や高効率空調、BEMSの導入などに活用可能です。
初期投資の負担を軽減しながら、電気代削減やCO₂削減を実現できるため、計画的に制度を調べて活用することが重要です。
- 省エネルギー投資促進支援事業費補助金(設備単位型)
高効率空調・LED照明など、省エネ率10%以上の機器更新に活用でき、補助率は最大1/3、上限1億円まで支援されます。 - 省エネルギー投資促進に向けた支援補助金(資源エネルギー庁)
資源エネルギー庁が所管し、高効率設備の導入やEMS活用を支援する制度です。
中小企業は補助率1/2、大企業は1/3以内とされ、エネルギーコスト削減と脱炭素経営を後押しします。 - 環境省の脱炭素化支援事業
環境省の脱炭素化支援事業は、工場やオフィス、地域などでのCO₂削減に向けて、省エネ設備の導入やZEB改修、再エネ活用を支援する補助制度です。
ビルの省エネ事例|電気代削減につながった取り組み
ビルの運営には空調や照明など多くのエネルギーが必要で、電気代が経営コストの大きな割合を占めています。そのため、省エネ対策を実践した事例は、電気代削減だけでなく環境負荷の低減やブランド価値の確立にも直結します。
ここでは、ビルの省エネ事例を取り上げ、その成果を紹介します。
虎ノ門15森ビルの事例
1969年竣工の虎ノ門15森ビルを大規模改修し、耐震性・環境性能・機能性を向上。空調や照明、エレベーターを最新設備に更新し、CO₂排出量を約16.8%削減。補助金を活用し、改修後は満室稼働を実現しました。
さらに、一次エネルギー消費量も12.9%削減され、環境負荷の低減に大きく貢献。
テナントの電力使用を可視化する「エネルギーWebシステム」を導入し、自主的な省エネ活動を促進。
築古ビルの価値を再生し、都市部での競争力を高めた事例となっています。
出典:国土交通省
本郷瀬川ビルの省エネ事例
築23年の本郷瀬川ビルでは、毎年継続的に省エネ改修を実施。照明のLED化や空調更新などの取り組みにより、2009年度には都条例基準値比で21.5%のCO₂削減を達成しました。
さらに、CO₂排出量をエレベーター前に掲示するなど「見える化」を行い、テナントと省エネ成果を共有。
省エネ活動はビル全体の意識向上につながり、テナント満足度やイメージの改善にも貢献しています。
今後も空調や窓ガラスの更新などを通じて、さらなるCO₂削減を目指しています。
出典:国土交通省
まとめ
ビルにおける省エネ・節電対策は、電気代の削減だけでなく、環境規制への対応やCSR、入居テナントや従業員の快適性向上にも直結する重要な取り組みです。照明や空調といった機器の最適化など、日常の工夫から、BEMSの導入や断熱改修、再生可能エネルギー活用といった中長期的な投資まで、さまざまな方法があります。さらに、国や自治体の補助金・助成金を活用すれば、初期投資の負担を抑えつつ効率的に取り組むことが可能です。
ビルの特性に応じた省エネ対策を計画的に進めることで、持続可能な成長と脱炭素社会の実現に貢献できます。
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